田中まじめ滅餓寧武露愚

よろしくお願いします。

トレインスポッティングが好き

ブリングバックという友人のポッドキャストラジオでトレインスポッティングについて語ろうということで改めて見直した。生涯で一番見ている大好きな映画。DVDを所持しているので友人と宅飲みをするたびにBGM代わりによく再生していた。

 

トレインスポッティング、90年代前半の映画。スコットランドで暮らすヘロイン中毒の若者たちの日常と閉塞感を抜け出そうともがく姿が描かれている。ファッション、音楽登場人物のキャラクター、映像の作り方、セリフ、テンポ、ストーリー、オチ、全てが一体となった作品だと思う。「こういう服を着た人がこういう音楽を聞いてこういうノリでこういうコミュニケーションでこういう考え方・ライフスタイルだった」が作り込まれていて、一つ一つのセンスが魅力的で見ていて心地よかった。何回も見たけど今回あらためてトレインスポッティングについて色々と検索していて新しく分かったことがたくさんあって面白かった。

 

映画の中でレントンが履いているアディダスのエンジ色のスニーカーを見て「スウェードだからヨーロッパだしガッツレーかな、でもタンがボディーと同じ色だし形も違うよな」と思っていた。今回が良い機会だと、モデル名を突き止めてやろうとスニーカーに注目して見ていたら靴のソール部分が映ってガッツレー系では無いことが分かった。ソールは何となくサッカー用のもののようで調べたらサンバが出てきた。しかしサンバと違うことは知っていた。

 

試しに「アディダス サンバ トレスポ」で検索してみたら詳しい方はいるもんで「レントンの足元、samba super suedeなんですが欲しいな〜」みたいなことをおっしゃている方がいた。すごすぎる。「なんですが」じゃないですよ。僕が見た限りではあなたしかモデル名まで正しく言い当てている方はいませんでしたよ。

 

ちなみに「サンバスーパー」はタンの作りがちょっと違うようだった。しかしこちらもかっこいいのでいつか良い感じのものが再発されたら入手したい。2ではサンバスペツィアルを履いていたけど、こちらは現行もの。しかしやっぱりアディダスだったことが嬉しかった。永遠にアディダスを履こう。

 

スニーカーだけでなくコーディネートもめちゃくちゃカッコイイ。黒が褪せまくったスキニージーンズ、エリやソデまでボロボロにダメージした服、ゴミみたいに汚れたコンバースオールスターハイカット生成り、嘘みたいに小さなTシャツ。全くリアルタイムでは無かったけど高校生のときに初めて見て感じた「なんかわからんがカッコイイィィーーー!!」という衝撃は凄まじく、自分のファッション観の基本的な部分はレントンから大きく影響を受けている。若い頃と同じ格好はできないけどヒーローがいれば2000何年でもスタイルは古くならない。

 

レントンに対するダイアンのセリフ、「繊細で冗談が上手くて冒険好き情熱的で誠実なちょっといかれたワル」という言葉の通り、主人公レントンは不良っぽくてカッコイイ。不良は体制に対するカウンターだと思うので何となく人生や世の中に納得できないでいる人にとってレントンは自己投影しやすいのかも知れない。ダラダラと堕落してしまったけど抜け出そうと何度もチャレンジしたり失敗したり一か八かに賭けたり、とにかく何とか良くしようともがく姿は魅力的に見えた。憧れて静脈にヘロインを打ち込み続けた。もちろん嘘。映画はドラッグを否定しているわけでも礼賛しているわけでもない。ただ「こういうことだよ」という描き方が中立的でドライでクールだった。ヘロインは怖い。間違いなくやらない。

 

 音楽について。イントロ部分、Iggy pop /Lust for life(イギーポップ/ラストフォーライフ)が流れ警官に追われながら疾走する二人の男、バックグラウンドには物語のテーマとも言える「自分の人生を選べ」という急き立てられるような内容のリリック。何かが起きている感じが伝わってきて一気に物語へと引き込まれる。ちなみにBiSHのアユニ・Dはピエール瀧が捕まった朝にツイッターでラストフォーライフの画像を貼っていたけど瀧はコカインでトレインスポッティングはヘロインだ。

 

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レントン25歳がダイアナ14歳と出会う最初のディスコのシーンで流れる音楽。「ニャにゃにゃにゃーにゃ!テンプテーション」、Heaven17/Temptation(ヘブンセブンティーンズ/テンプテーション)という曲。このディスコの内装は「時計仕掛けのオレンジ」に多大なるオマージュを寄せて作られているらしい。

 

調べてみたら確かに「時計仕掛けのオレンジ」でミルクバーで座るアレックスたちの背景に映る壁紙の文字と、トミーとスパッドが話しているシーンで映る壁紙の文字が同じフォントだった。ちなみにヘブンセブンティーンズというバンド名も「時計仕掛けのオレンジ」に出てくる言葉から名付けたらしく、舞台美術と音楽をさりげなくリンクさせるオシャレさが泣ける。

 

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ヘブンセブンティーンズのテンプテーションから「てんてんテーン」とSleeper / Atomic(スリーパー/アトミック)に曲が繋がれる。この曲がまたカッコイイ。ブロンディというアーティストのカバー曲。

 

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「何かを始めなきゃ」と就職して新しい世界に飛び込んだレントンの高揚感を「ボンでけでけでけぼんでけぼん」と表現しているかのようなIce MC / Think About The Way(アイスMC /シンクアバウトザウェイ)もカッコイイ。未来は開かれた、かに見えたのだが。人生、起伏の連続。

 

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取引成功の音楽もカッコイイ。Sleeper / Startuesque(スリーパー/スターチュエスク)。ギター「ビービビ・ビービビー」というローファイ爽やかなイントロが流れるがレントンのセリフは次の展開を示すような暗いものだった。仲間と過ごした時間の中での楽しかったピーク。余談になるが今またこういう音が少し流行っているように感じる。ジュアンズやノーバシーズなど。

 

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そして、例の「ビール持てないならバーに来るな」事件が起きてしまう。居合わせた客を殴り付けたベグビーがタバコを取ってこいと言ってレントンはタバコに火を着けてベグビーに渡す、渡されたベグビーはレントンの顔にタバコの煙を吹きかけて、「てんてんてんてんX2」とアンダーワールドのボーンスリッピーが静かに流れ始めラストシーンへ。か、カッコイイ、、(曲が)。

 

 

映画の中で「何故あんなにひどいことをするベグビーと友達なんだろう?」ということがすごく疑問だった。いつの頃から友人関係かは調べても分からなかったけど、年上だったベグビーが落第してレントンたちと同級生になったという関係らしい。いわゆる昔からの腐れ縁。年上だし腐れ縁だから横暴な態度にも我慢して友達でいたけど、結局最後にカタルシスを迎えるという。幼馴染の友人という特別な関係が壊れずにいたひとときを映画の中で描いていたのだと解釈した。自戒。

 

豆知識のコーナー。シックボーイ以外みんなスコットランド出身、劇中のセリフはスコットランド訛りがすごくてアメリカ英語を習った人にはセリフがわからないらしい。トイレのシーンの茶色は全部チョコレート。原作を書いたアーヴィン・ウェルシュさんもマイキーというショボい売人役で映画に出演している。95年頃の2000ポンドは30万円くらい。16000ポンドは240万円くらい。

 

ちなみに映画の中に「トレインスポッティング」という曲が使われている。プライマルスクリームが映画のために書き下ろした曲で映画の中のどこで使われているかというと、禁薬したレントンとシックボーイが公園で寝そべって二人で喋っているというシーンだった。僕がシーンから感じられたことは、「集団でランニングする人たち、遊んでいる親子、色々な人がいる晴れた休日の公園で、はしっこからモデルガンで一般市民を狙うレントンとシックボーイ、人生で何を選んでいるかの対比、腐れ縁的な人間関係とその重要性」、飛躍させすぎかも知れないけど音楽を大切にしている映画でタイトル曲が使われているということはかなり重要なシーンなのではないかと思う。

 

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良い曲だな〜。トレインスポッティングには二つの意味があるらしい。一つ目はトレインスポッティングを直訳した「鉄道オタク」、転じて「些細なことに夢中になる人」、ここからもプライマルスクリームのトレインスポッティングが流れる公園での場面に繋がるのかなと考えてみた。


夢中になるという意味では、トレスポ2に「みんなSNSとか何かしらの中毒!」みたいなセリフがあったように、「どの中毒を選ぶか」、「何に夢中になるか」、「人生で何を選ぶか」という作品のテーマまで連想させられていく見事なタイトル。トレインスポッティングの二つ目の意味は「廃線になった駅で薬物を摂取している人たち」というスラング。2ではベグビーの父親のセリフでこちらの意味が使われているシーンが。

 

というわけで大好きな映画をベラベラとやらせてもらいました。「チューズユアライフ」ですね。そんな感じで、ほなまたです。ばーい。

20190418 祖母と話す

今日は母方の祖母と話した。アベヨウコ85歳。6年前に夫を亡くしケアハウスという老人が共同生活するアパートで一人暮らしをしている。ケアハウスは健康を考え作られた食事が自動で出てきてお風呂も決められた時間なら自由に入れるという施設。祖母はいつ行っても具合が悪いと言っていて「長生きはするもんじゃない」が口癖になっている。少し前に会ったときよりも体が重そうだったが脳の回転は衰えておらず良く話してくれて元気そうで良かった。

 

ふと行きたくなったのは、昨日働いているときに「お父さんとお母さんから生まれるけどやがては全員もれなく土に帰るって面白いな。俺も君もいつか地球か。それじゃあもうほぼ地球か」、「母方の祖母はあと6年くらい生きてくれるか、もしくは2、3年、下手すれば来月には土に帰るのか、もっと話したいな」とふと思ったからである。

 

祖母は気が強いタイプで、今日行ったときも「ケアハウスの恒例行事でカラオケ行ってたけど周りが下手すぎてもう行きたくなくなったわ笑」と歯に絹着せぬ調子で笑い話にしていた。元気なときは歌のカルチャースクールに通っていてカラオケを得意としていることは知っていた。

 

母は、祖母を評して気は強いが気配りもできる人だと良く言っていた(自分は気が効かないが、とも)。ケアハウスに入る前、夫婦で住んでいたときは向かい三軒両隣には抜かりなく色々と気を使っていたようで楽しそうなご近所付き合いの話を良く聞かせてもらっていた。

 

一軒家からケアハウスに引っ越したのも、いわゆる終活によるものらしく祖父の死後2年ほどかけて家のものを全て処分し、掃除し、家自体も近所の若夫婦に二束三文で売り渡してしまった。残されたものに負担をかけぬよう死ぬ準備の一環のようだった。

 

祖母の近所に住んでいる母は、ご近所との良好な関係を見て一軒家からケアハウスに移らなくて良いのではないかと声をかけていたそうだが祖母は全てを処分してケアハウスに引っ越した。本人はそこまで言わなかったが、人の世話になることをよしとせず人間関係すら死ぬ準備の一環に捉え美しく遠ざかろうとしていたのではないかと思ってしまう。

 

引っ越しが79歳のとき、「何でも元気なうちにやらねばダメだ」と言う姿は言動が一致して筋を通しているようでかっこよかった。昔から段取りをとても気にするそうで「若いときから天気予報を見て日々の段取りをするんだわ」と教えてくれて勉強になった。

 

「引っ越してから6年たったけど、この前6年間で施設に払った金を全部計算したら560万(仮)だった」と教えてくれた。自分は祖父の遺族年金と自身の国民年金で賄えているが、国民年金だけの人も公の機関から補助が出るから施設に入れるとも。どうにかなるのだなと強く思った。

 

「他の施設を見せてもらったこともあるけど、ここより狭いし料金は高いし良くなかった」「あんたらは少子高齢化で大変だね」「趣味がない人は寝てばっかりいるわ」と言っていてまた考えさせられた。

 

最近は「年金の受給開始年齢を70歳に引きあげようかその代わり82歳まで生きたらモトがとれるようにするよ」などという話し合いを国がしているとのニュースも聞いた。現代をサバイヴするものの人生観として、体が動くうちは働きに出て社会にも参加しつつ動けなくなったらゴールというくらいに考えておいていいのかも知れない。働く意欲さえあればどうにでもなるとも思える今の時代はとても幸せなのかも知れないとも考えた。

 

数年先の社会情勢も大きく変わらないような気がするし、何なら国がどこかのタイミングで本気の人口増加を目指して老人になった我々が割を食う未来がやってくるかも知れない。そこから思い浮かぶことは今しかできないことを今やる重要性で、「年を取ったらやろ〜」という老後の楽しみは、もしかしたら通用しないのかも知れない。もちろん全て自分のバランス感覚でありタイミング感覚であり、つまりそれぞれの人生観だけれども。心の底からみんな違ってみんな良いと思うけれども。

 

祖母、別れ際に「まーだまだあんたらにはフタ山もミ山もヨツ山もあるわね」と言っていたので今度行ったときには今までの山と、戦時中や戦争からどう生きてきたか時代の流れや何を考えて生きてきたか、年を取っても楽しい趣味などインタビューしてみよう。楽しそうだ。今日は1時間くらいだったがずっと喋りっぱなしでお腹いっぱいになって退散した。やるなアベヨウコ。あと2年くらい健康に生きてくれ。

 

帰りに家内と10年前の話になった。曰く、「10年前は思い出すと至らぬ過ぎて恥ずかしくなるけど、それはもう経験できないことだと考えると我がことながら愛おしくなるね」と。いいね。こちらは10年前どころか昨日のことすらも至らぬ過ぎて恥ずかしいようなどうしようもない男。しかし、確かに10年前よりは良くなっている、と思う。昔の私、どんどん更新できたら面白いのでできるだけ長く今考えていることをブログにしたため生きていこう。

 

そんな感じでほなまた。ばーい。

20190415ゲゲゲの人生展

新津美術館で開催されているゲゲゲの人生展に行ってきました。

 

めっちゃくちゃ良かったです。以下、ちょっとネタバレあります。

 

漫画家の水木しげるさんが1922年に誕生してから2015年に93歳でこの世を去るまでどのような生涯を送ったか、

 

のんのんばあから妖怪の世界を教えてもらった幼少期、絵が上手くて新聞に「天才少年現れる!」とまで書かれた少年時代、戦争に出兵して左腕を亡くした青年期、結婚してからも貧しく苦労をしながら生活していた貸本漫画家時代、ブレイクして豊かになったけど繁忙を極めた黄金時代、世界各地の妖怪にまつわるものを収集して回った晩年。

 

ざっくりとまとめるとこのような構成になっていて、その時々に書いていた絵や文章など交えて分かりやすく展示されていてとても面白かったです。またラバウルで現地人と仲良くなって歓待を受けたなど人柄が分かる多くのエピソードも多数紹介されていました。

 

絵がとにかく上手かったです。キャラクターもさることながらその後ろに細かく書き込まれた背景の絵にも何度も目を奪われました。水木さんには収集癖があって新聞の題字を切り取って集めていたり(当時そういうブームがあったらしい)、スクラップブックに風景写真や切り抜きを貼って自作した資料本も公開されていて、どのように想像を膨らませて作品にしていったか垣間見えるようでした。「石や木が会話しているような雰囲気を感じて」書いたという妖怪のイラストなど、感受性や想像力が伝わってくるようで見応えがありました。

 

また、戦地へ持って行ったという「ゲーテとの対話」はじめ多くの哲学書を読んだり、戦争、貧乏、人気作家など極限を体験した水木さんだからこそ辿り着いた人生観が様々な漫画のシーンに落とし込まれていることが分かりとても水木しげるさんの漫画が読みたくなりました。水木しげるさんが描いた漫画を網羅的に収録した水木しげる漫画大全集は全103巻別巻全5巻補巻全5巻、合計30万円くらいです。欲しいです。

 

最後に、亡くなった際の追悼メッセージが公開されていて数多くの著名人に影響を与えていたことが改めて伝わってきました。坂本慎太郎石野卓球宮藤官九郎山口晃根本敬中川翔子(猫かわいい)、ヒグチユウコ、藤子不二雄A南伸坊美輪明宏、モンキーパンチ、森山未來京極夏彦などなど、まだまだたくさんいましたが自分の興味の範疇の中だけでも以上のような錚々たる顔ぶれ。

 

11時に入館してからお土産までしっかり見て外に出たら14時になっていました。ポストカード、湯のみ、キーホルダー、スーパーボールを購入。キーホルダーはのんのんばあ、スーパーボールは一反木綿でした。

 

以上、とにかく見応え十分、6月2日まで新津美術館で公開中ですので気になった方は是非是非行ってみてください。大全集、集めるか。では、ばーい。

WACKオーデ2019感想

WACKというアイドル事務所の新人発掘オーディション合宿が壱岐島で開催されました。アイドルになりたい女の子たちとWACK所属のアイドルたちが、自分の技術性格センスもろもろの総合力で色々な企画に立ち向かい、日ごとに一人また一人と脱落していく様子を撮影、一週間24時間永遠とネットで生配信するという内容です。人生をかけた真剣勝負が繰り広げられ生放送のドキュメントという感じでした。率直な感想でWACKの思想が嫌だなと思った部分もそのまま書きましたのでお気を付けください。

 

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合宿では、代表取締役であるジュンジュンという人が進行役になり様々な企画が行われていきました。所属アイドルとの個人面談のコーナーの中では、「何で最近売り上げが落ちているか分かる?」と若い女の子アイドルを締め上げている場面がありました。それまでの流れもあり、考えることを説くということはとても大事だと思いますが、ジュンジュンのやり方は見ていて少しつらくなりました。

 

追い込むことで売り上げにつなげるという理屈も一部は分かりますが、「俺はコレを頑張るから、キミはコレを頑張ってね。そうするとこういう良いことが起きるよ。具体的に言うと毎日コレして今月の目標はコレね」という寄り添う感じが伝わってくるようなコミュニケーションが見たかったです。

 

なぜ見ていてつらくなったかは、実際に活動する側としてのモチベーションが上がるか疑問に思えたからです。私はモチベーション高く活動することはとても大切だと考えていて、人生はモチベーションを高く生きている状態こそ幸福なのでは無いかとも思います。モチベーションが高く目標に向かえていれば例え失敗しても次にどうしたら成功できるか考えられるとも思います。

 

また、ある場面ではジュンジュンが候補者や所属アイドルに「感謝」を説いていました。日々の活動において感謝することは絶対に大事だけど、僕にはアイドル活動に対するやりがいを感謝にすり替えて会社としての利益配分を誤魔化している人に見えてしまいました。

 

歌とダンスなどの技術を覚えることについて、もちろん教えていただくことは本当にありがたいことです。しかし、その中には本人が時間や体力ときにはお金などを注ぎ込んだからこそ得られる努力の成果でもあると思います。WACKに入りたい候補者とアイドルが、労働力が欲しくて人材を募集したであろう会社と、バランスを崩した契約関係に向かって会社側が考え方を導いているように見えてしまい残念でした。

 

会社はお客様からありがとうと言ってもらいサービスに見合った料金をいただきます。続いて会社が従業員に報酬を与えます。この与える報酬について物質的な報酬と精神的な報酬のバランスが崩れているように見えてしまいました。オヤが肥えて子が痩せる。アイドルの世界に関わらず富が一箇所に集中して他が貧しくなることは好ましくないと思います。少し飛躍しますが出生率が下がるなど国全体が更に貧しくなってしまうということにも繋がると思います。ジュンジュンが説くように、もし精神的報酬である「感謝」が欲しいのであれば、それこそ運営側が「感謝」にウェイトを置いて報酬をいただくべきだと思います。

 

また個人面談の場面とも比較し、「感謝」を説きながら利益を追求させる点にも違和感を感じました。労働と報酬の条件や、社風を踏まえた人間関係、環境が良ければずっと働きたいですし、そこに会社に対する感謝が生まれると思います。

 

おかしな理屈に付き合う必要は無いです。大切な人と過ごす時間や自分の人生をどのように送りたいか。めちゃくちゃ忙しく働いていた人が「仕事なんてどうでも良かった。もっと家族と一緒にいれば良かった」とご家族を亡くされた後に言っていた何かの動画を見て自分はすごく考えさせられました。価値観は人それぞれですが、どういう人生を作っていくかについて自分にとってとても響いて考えさせられるきっかけになりました。

 

もちろん僕自身日々の生活の中で感謝はしますし、ありがたいと思うことにはより多く気が付けたほうがいいです。しかし感覚は無理強いするものでは無いです。感謝の度合いを含めて、統一的に「こう思わなければいけない」というものではなく心から自然に湧き上がる感情を大切にしたいです。極端に言ってしまえば、自分の時間とお金を愛するものに向けてではなく、会社に献上することをもって感謝に対する恩返しとするというような言い回しにとても違和感を感じました。

 

オーディション合宿中、参加者であるアユニ・Dというアーティストがツイッターのバイオで「すみませんけどもう無理、気持ちが悪くてこの雰囲気耐えられません」(原文ママ)と発信したことが合宿全体こ空気感を語っていたのではないかと思います。

 

会社としての思想統制を自分が納得できるものかの擦り合わせと、自分の技術性格センスもろもろの総合力でどれくらいお客様から支持されるか、一緒に働きたいと思えるか思ってもらえるか、オーディション合宿が終わってからもそれの連続だと思います。どんな衣装を着るとか曲をもらうかの前の段階として、自分の人生にとってこの仕事の本質的な部分をどう捉えているか。やりがい、給与、時間、社風を踏まえた人間関係、自分が普段どのように会社で取り扱われるか、人生に対するコストや成果も含めて。見ていてとても考えさせられました。

 

ここから、話はガラっと変わってオーディション合宿最後のエキシビジョンの感想です。

 

BiSHはモモコさんの必要性を感じるライブでした。いつもモモコさんをいじるリンリンが特に求めていたように感じました。

 

BiSは解散が発表されてしまいました。ライブがとても良かっただけに残念です。解散発表後に3BiSメンバーを募集することが告知されましたが、そこには「BiS1期に対する理解がある人」、「28歳まで」などの要項が並べられており「どんだけプールイ(過去にBiSに在籍したアイドル)を求めているんだ!」というファンの反応が感慨深かったです。

 

BiSは「新生アイドル研究会」という肩書きの通りアイドルというものを研究するチームで、ジュンジュンが設けたテーマは、ヤバイ要素を含んだ活動、企画モノ的なドキュメント、そこから見えてくるアイドル像を探すことが目的なのかな思います。

 

ギャンパレは、オーディションでのヤママチミキさんの所作から普段のハードなトレーニングを想像させられたのに、ライブではめちゃくちゃ笑顔でパフォーマンスしていて泣きました。辛い思いをしてきただろうに悲壮感を見せないところに感動しました。ヤママチミキさん、そしてギャングパレードの魅力に気付かされたオーディション合宿でした。

 

と、色々と書きましたが各チームが見せているライブを作り上げ集団を統治してエンターテイメントにしているジュンジュンは結局すごいとも思いました。何事も長所と短所を知り距離感を掴んでいきたいです。BiSH、春のツアー三ヶ所行きます。ギャンパレも行きたいです。そんな感じでこれからもWACKの活動を見させていただきたいと思います。では、ばーい。

佐久間宣行のオールナイトニッポン0!

面白かったです。

 

佐久間宣行さんという方は、テレ東で放送している「ゴッドタン」のプロデューサーの方です。テレビ東京の社員なのにニッポン放送で番組を持つという革命的な構造になっています。TBSのアナウンサーだった人がフリーランスになって他局に出演することとまた意味が違います。

 

佐久間さん自身が関わったテレ東の番組を通じて親交のあったAKBメンバーや芸人さんのオールナイトニッポンの放送に4回くらいゲスト出演してレギュラーを掴みとったそうです。おしゃべり達者でした。劇団ひとりさんからは「自分のおしゃべりで勝ち取ったんだから胸張ってやってこいよ!」と送り出されたそうです。

 

番組では相対性理論のテレ東という曲が一曲目に流され、佐久間さんとニッポン放送のイキを感じました。リスナーとのやりとりでは、いじられキャラみたいなものを作りつつ「ラブレターズ干すか」みたいな強権も見せつつラジオパーソナリティーとしてのキャラクターを探り始めた感じも面白かったです。放送時間は深夜3時から90分間の生放送。深すぎる。すごい。43歳。

 

ゴッドタンというテレビ番組が好きで色々とサーチする中で流れてきた佐久間さんのツイッターが面白くてファンになりました。アンテナがとても高い方で少し前でいうとスーパーオーガニズムや東郷清丸さんなどメディアで取り上げられるよりかなり早く紹介されていました。

 

ラジオでも語られていましたがゴッドタンという番組自体「まだ発見されていないその人の魅力を見てもらいたい」というコンセプトも持っていたり、良質なものをとにかく早く世に出してくれる方というイメージがあります。最近の例だと眉村ちあきさんの天才性やハライチ岩井さんノブコブ徳井さんの腐り芸などなど、今まで気がつかなかったような新しい価値観を発掘してくれるようですごいなと思います。

 

ゴッドタンで繰り広げられているキンコン西野さんと劇団ひとりさんの対決は史上最大級にショッキングなテレビ番組の内容です。背中合わせの状態でどれくらい相手より自分の髪の毛を切り込めるかという対決も記憶に新しいですが、昨秋に放送されたウォシュレット対決も壮絶の一言でした。詳しい描写は避けますがクソバカすぎて涙が出るほど面白かったです。簡単に言うとクチに含んだ水で下から相手をウォシュレットするという。まあそれが全てなんですが。テレビ番組の限界ギリギリ、突き抜け切った下ネタでした。

 

番組放送後の佐久間さんが「やっちゃダメなくらい馬鹿馬鹿しいことをやると『死ぬつもりでしたが、番組を見てまだ生きてみようと思いました』などメッセージをくれる人がいるからやっちゃダメなことは分かってるんだけどやってしまう」とツイートされているのを見たときには深く感銘を受けました。僕自身、中高生のときに色々と人生に悩んでいて、99のオールナイトニッポンのジャネットのコーナーなどに生きるパワーをもらっていました。馬鹿馬鹿しい下ネタで救われることもあるので、これからもゴッドタンには馬鹿馬鹿しいことをやり続けて欲しいと思いました。

 

これからどういう思いで番組を制作しているかも少しずつ語ってくれると思うのでそちらもとても楽しみです。そんな感じでこれからも佐久間さんの活動に注目していきたいです!以上。ばーい。

20190401新元号発表

令和でしたね。平成も残すところ一ヶ月少し寂しい気持ち。

 

20190401、午前11時30分頃に発表とのことでしたが、焦らされて焦らされて45分近くになってから発表されました。万葉集にインスパイアされた言葉だそうです。

 

巷のアンケートでは7割近い人に前向きに受け入れられていましたが、令和の令の字が命令とか法令みたいで冷たい感じという意見を答えている方もいました。あと意味自体に深みが無いとかね。

 

僕は、友達の家に生まれた赤ちゃんの名前を聞いたときのような「へー!令和ちゃんっていうんだ!めっちゃ良い名前じゃん!おめでとう!」という気分でした。

 

新しい時代が始まります。最近思っていたことは、やりたいことがたくさんあるけど睡眠時間を削ったり家事の時間を削ったりしてまでやりたいことはないということです。日々を大切に環境を整えてアイディアを温めてタイミングを待ってやりたいなと考えていました。でもやりたいことは全てやりたいです。長く構えてやれることをやる。人それぞれですが自分はそんな風に生きていきたいです。新しい元号の発表に合わせてそんなことを思っていました。また考え変わるかもですけどね。

 

あと平成最後の何々という煽りに乗じることはありませんでしたが、平成最後の夜と令和最初の朝に誰とどこで何をしていたかは一生忘れない気がします。日々を大切に。以上、ばーい。

好きな小説を思い出す回

回です。

 

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『人間関係三選』

 

こころ(夏目漱石)、言わずと知れた夏目漱石先生のこころ、現代的な倫理観から離れているという意見を見たこともあるけどむしろ登場人物に感情移入できて楽しめた。それは僕の倫理観の話ではなく筆者の流れるような読んでいて心地いいような文章のおかげ。文章の美しさみたいなものを感じ、そら紙幣なりますわと思った。

 

次郎物語下村湖人)、長男が祖母から可愛がられるけどそこに長男の人格はないみたいなところの描き方が印象に残っている。中学生のとき、司書の先生に勧められて読んだ。司書の先生、僕の何かが見えていたのか。

 

百歳(色川武大)、父との関係は良くなかったけど父が長生きしてそこに対して思うアレコレ。新聞で紹介されていて読んでみたら面白くて覚えている。そこで色川武大を覚えた。

 

『ストリート感覚(短編)三選』

 

東京のプリンスたち(深沢七郎)、「ラブしちまったのか?」というセリフがクールだった。昔の作品だけどラブに対しての距離が現代的な気がした。皆んな遊び方や雰囲気がカッコイイ。楢山節考カップリング。

 

いづこへ(坂口安吾)、キングオブかっこいい小説。どうしようもない主人公も魅力的だし、これも夏目漱石のこころに匹敵するくらい読んでいて気持ちいいリズムだった。初めて読んだときあまりのかっこよさに続けてもう一度読んでしまった。ミスドで。坂口安吾さんは新潟市出身ということもあり強く興味を持っている。

 

東京小説・ぼくの町篇(野坂昭如)、「やると『コキーン!』ってなるから『コカイン』やねんな」というセリフ、薬物を売る焼き芋屋、それに対して唇に指を二本あててウィードを注文する少年。日本のトレインスポッティングのようだった。野坂昭如さんは「火垂るの墓」の原作者。こちらの方も新潟と縁が深い。

 

『ミステリ作家三選』

砂の女安部公房)、すみませんこれもキングオブかっこいい小説。狂った設定もその世界に引き込む文章力もキワキワ。読んでるとジャリジャリしてくるようだ。不条理。読み手の想像力に訴えかけてきて映画より小説が好きだという気持ちにさせてくれる作品。多分ジャンルはミステリーじゃないけど、ミステリーと呼びたいくらいリアル。

 

暗いところで待ち合わせ(乙一)、高校生の頃、最初に読んだときの衝撃たるや。こんな話ある!?とオチを読んでめちゃくちゃビビった思い出。オチの持っていき方も気持ちいい。小説だからこそ。平面犬、死に損ないの青、そ・ふぁー、も好き。特に、そ・ふぁー好き。乱暴な表現だけど東野圭吾星新一の間くらいで好きなバランス。リアリティの要素を残しつつファンタジーも強すぎないような。

 

毒笑小説(東野圭吾)、筆者の学生時代の話。面白い。これもミステリーではないけど「泣かせるより笑わせる文章の方が難しい」というセリフが印象深かったので紹介したくてミステリー作家部門で。

 

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いつか働かなくて良くなったら本を読みたいです。それだけで幸せだなと思いリストアップしてみました。他にやりたいことがたくさんあってなかなかできないけど、本はなくならないので引退したらゆっくり読んでいきたいです。あと昔のゲーム。漫画。映画など。以上、ばーい。